火星大気圏への突入準備は、巡航段階の最後の4時間の追跡セッションが始まる14時間前に始められます。これが地上管制官が航法情報を収集できる最後の機会となります。

突入およそ12時間前、予期せぬ事態が起こった時に探査機をセーフ・モードへ入れるソフトウェアが停止させられます。探査機の残りの飛行と表面への降下の間はこのソフトウェアは停止状態です。

突入の7時間25分前に30分間の追跡セッションが開始します。もし探査機の飛行経路を微調整する最終の軌道修正操作が必要ならば、スラスターを燃焼させるコンピューター・コマンドがこのセッションの間に探査機へ送られる可能性があります。この操作は突入7時間前に実施されます。

探査機との最終コンタクトは突入25分前に始まり15分間続きます。この追跡セッションの間に探査機チームは、推進システムの状況データを受信します。

着陸船のスラスターのヒーターが突入20分前に入れられます。突入15分前に、火星降下撮影装置を制御するソフトウェアがイニシャライズされます。

突入およそ10分前に探査機は、ジャイロスコープと加速度計からその位置やコースや速度を算出する慣性航法に切り替わります。

突入6分前、探査機はそのスラスターを80秒間燃焼させて突入方向へ向きをかえます。

突入5分前つまり着地10分前に、巡航段が軟着陸用防護殻に収められた着陸船から切り離されます。

巡航段の太陽電池パネルも切り離されるので、着陸船は自身の太陽電池パネルを地表で開くまで内臓バッテリーに頼ることになります。

巡航段に背負われたディープスペース2マイクロプローブが、18秒後に投棄されます。その時に着陸船は、大気圏突入の正確な方向を決定させる指令を受けます。

秒速6.8キロメートル(時速15,400マイル)で飛行する探査機は火星の大気圏のへりに33秒から37秒後に突入します。

地球の重力の3/100ほどの小さな「G」も検知できる高感度の搭載型加速度計が、大気摩擦が着陸船をゆっくりと減速するのを感じるでしょう。

この時点で着陸船は、突入カプセルを進行方向へ向けつづける為にスラスターを使い始めます。

探査機が高層大気圏とぶつかってから着地を完了するまで4分33秒以上はかかりません。

降下するにしたがって、探査機には地球の重力の12倍のg力がかかります。また熱遮蔽の温度は1650°C(3000°F)にまで上昇します。

探査機が火星表面から約7.3キロメートル(4.5マイル)上空を秒速およそ493メーター(時速1,100マイル)で降下している着陸2分前に、着陸船のパラシュートが迫撃砲(小型の大砲)から発射されます。

パラシュートが開いてから10秒後に、火星降下撮像機のスイッチが入れられ探査機の熱遮蔽が投棄されます。最初の降下画像は、熱遮蔽が分離する0.3秒前に撮られます。撮像装置は探査機が表面に降下するまでに合計でおよそ10枚の写真を撮ります。

着地70秒から100秒前に着陸船の脚が広がりその1.5秒後に着陸レーダーが起動します。このレーダーは、地表高度およそ2.5キロメートル(1.5マイル)でスイッチが入ってから44秒後に探査機の高度を計ることができます。

探査機が地表高度およそ1.4キロメートル(4,600フィート)を秒速80メーター(時速180マイル)で降下中にこのレーダーが地上を捕捉すると直ちに、巡航過程でこれまでずっと使ってきたスラスターが切られて、バックシェルが着陸船から分離されます。

降下エンジンがその1.5秒後に入れられ、飛行経路が次第に垂直になっていくように着陸船の向きを変えます。

降下の間、パルス変調された降下エンジンが探査機の方向を維持します。このエンジンは、太陽が空を横切って動く時に最も効率良く発電できる方向に太陽電池パネルを付けた着陸船が向くように回転させる為に燃焼します。

レーダーは、地表高度およそ40メーター(130フィート)で切られ、着地の時は探査機はジャイロと加速度計の慣性誘導に頼ります。

探査機の高度が12メーター(40フィート)に達するかその速度が秒速2.4メーター(時速5.4マイル)に達すると、着陸船は定速度で直立に降下します。

脚の先についたセンサーが着地を検知すると、降下エンジンが切られます。このエンジンは、地表までの最終降下の間、合計およそ40秒間オンになっています。